Data Analysis

データ分析について語ります。

DXという多大なる見栄の代償、という笑えない話

DXという御旗のもと、数多くの方がDX化に向けた取り組みをされていると思います。無理やりやらされている方はご苦労様です。

企業利益を減らし続ける罪悪

久々に、日本にもましなことをいう人がいるな、と思った記事がありました。

DXしているぜ! という多大なる見栄の代償 

以下、引用しながらざっくりまとめます。

「誰も嬉しくもないし、得もしていないのに止められないことがある」

DXの名のもとに、データ収集基盤や分析基盤、活用基盤に多大なる投資をし、DXらしきことを始めてみたのに、嬉しい変化を得ることができないケースがある。

「お金を使ってITシステムを構築すれば何とかなる」というスタンスで、分かっていながら結局、ITシステムに膨大な投資をし、成果の出ないモノが量産されていく。

勝手に量産されるだけならまだましで、
最悪は、使いにくいモノや、誰も使わないモノや、使っても成果の出ないモノが生き残り続ける

クラウド上で構築したシステムに対し、サブスクリプションというワードで表現された、一見すると少額だが冷静に計算すると高額になりがちな月額課金サービスを利用してしまい、ひっそりと企業利益を減らしている

うーん、分かってますねー。サブスクリプションというのは、クラウド企業への献金ですよ、特にリソース占有率の高い製造業の工程データでは…。

基本納得、ですが、"量産されるだけならまだしも"のフレーズは危険ですね。量産される=現場に導入される、なので、裏で工程の改造など導入コストがかかっています。お金だけでなく、人工も。労務費まで考えるときっと全然無視できないコストですよ。

ROIは、ITとはいえ、ちゃんと考えましょう

サブスクリプションというのは、お金を永続的に使い続けます。なので、そのランニングコストより多くのコストダウンを実現できなければ、せっかく現場が頑張って稼いだ利益を減らすことになります。現場がどれだけ頑張っているかはみなさんご存じですよね。それをごっそり他人にあげちゃう、って、まずいと思いませんか?

「IT投資に投資対効果ROI(En: Return On Investment)を考えたら何もできない!」これはこれで正論。私も都合がいいときにこう言いますが、ちゃんと考えていただきたいのは、初期投資とランニングコストでは全然意味合いが違うということです。初期投資は効果の累計で消していけます。いつかは償却できる、50年後だろうが…。が、ランニングコストはコストも累計されるので、結構エグイんです。別の言い方をすれば、初期投資はいつかはPayします。ランニングコストは効果金額がそれを上回らければ、赤字を永遠と垂れ流すことになります。さらに別の言い方をしましょう。出血しても、血を止めれば、いつかは回復します。出血しっぱなしで、止血せずに血を垂れ流し続ければ、いつかは死んでしまう、かもしれません。そういうことです。

まあ、最悪の最悪、使いにくいモノや、誰も使わないモノや、使っても成果の出ないモノもよしとしましょう。が、それに、永遠とコストを払い続ける(クラウドベンダに献金し続ける、血を流し続ける)は、まずいです。ここら辺、分かってない企業は、カモネギ状態ですね。特にGAFA系が相手では、日本企業の利益が海外に流出するだけです。

なんでそうなるのか

「DXだからとりあえずデータを集める」、ということをするとこうなりがちですね。「とりあえず集めてから、何に使えるか考える」、あー、失敗するお手本ですね…。

「こうしたいから、このデータを集める」がスタート地点です。マネタイジングともいわれますね。どう利益化するか(どう損失を減らすか)、視点で考える必要があります。

個人的には、データドリブンになれ、と口外していますが、こと何のデータを集めるか、のMustアイテムの選定には「データドリブンで行くなら使うな」といいつつ魚の骨を使います。

データドリブンでは、「取得出来得る全てのデータを記録する」が重要です。が、我々が生きているのは現実世界なので、ビジネスとして成り立つためにROI(センサ一つお金がかかります。配線だって、送信プログラムだって、ただではできません。データを保持するストレージだってお金必要ですよね)を考えなければならないので、妥当な投資額に抑えるために魚の骨で必須のデータを絞り込むことを考慮した方がいいケースは多数あります。使うならこういう感じで。

ターゲティングが重要ってことです。もしくは、これでどれだけコストダウンできるから、やろうって感じですね。その代わりその際にITコンサルでありがちな、「皮算用で大風呂敷」は止めましょうね。適当に水増しした情報で稟議通して、あとで困るのは現場かあなたです…。