Data Analysis

データ分析について語ります。

DX時代のアプローチはデータドリブンかと。「まずデータを見る」に変えていきましょう。

"DX時代の働き方をつくりだしなさい"

なんて言われている方多いと思います。とはいえ、難しいですよね。今の業務をデジタル技術で変革する、どうやって?というのが本音のところかもしれません。

まずはこれですかね、RPA

RPAとはRobotic Process Automationの略で、ロボティックプロセスオートメーションと呼ばれる技術です。これまで人間が対応していた作業などを、ルールベースエンジンや、AI/機械学習等を含む認知技術を活用して自動化・代行・代替する技術です。特に単調な繰り返し作業では導入が進んでいます。

1970年代にロボットが工場でモノを作り始めましたよね。あまり難しく考えずに、そのソフトウェア版かと思っていただければよいかと思います。例えば伝票の入力とかをソフトがやってくれるイメージですね。

今は比較的簡単に使えるツールが出てきていますし、業務の効率化に一役かってくれると思います。
少し気を付けたいのは、既存のレガシー(先人の遺物の意味。本来は、過去に築かれた、精神的・物理的遺産のこと)システムを便利に使うという観点での導入は、そもそもそのレガシーシステムを置き換えた方が結果的には得をすることが多いことです。RPAの乱用は、RPAの面倒を見ないといけない人の負荷を増やすリスクが出てきます。本末転倒ですね…。

今までの業務の電子化

例えば、記録は紙で人が集計とか計算して、印鑑付き回す、なんて作業があれば電子化しましょう。集計は勝手にやってくれますし、書類もっていろんなところを駆けずり回るのは非効率そのものですからね。

電子化によって、自動化された時間は、そのほかの作業に回すことができます。少なくとも効率化には結び付きそうです。ただ、背反としては、電子化したシステムのメンテナが必要で、これも新しい仕事になります。そういう副作用的な業務負荷が増えないようなシステムを採用すべきです。メリットを受けるユーザがより多く、新しく発生する管理負荷がミニマムなのが最も効率がよくなりますね。そうなっているか、をよく考えながら電子化は進めるべきです。

標準化(正規化)、これやっとかないと、後で手に負えなくなる…

電子化をはじめとするデジタル化が進むと、これまでできなかった部署間のデータ統合とか、組織間の比較をしたくなります。データが蓄積されれば機械学習とかだって使えるようになります。そういうことこそ(これまでできなかったことができるようになる)がデジタル化の最大の利点ですね。

その際に必ず頭に入れておいていただきたいことが…。データの標準化とか正規化といった事項です。これ、日本語だから問題になりやすいです。

まず正規化から。いろいろなレベルであるんですが、まずは言葉の正規化。「デジタル」と「デジタル」。同じことを言っていると思いますか?それとも別のこと?これ、たぶん同じことですよね。ところがコンピュータやネットワークでは、違う意味になってしまいます。"AI"と"AI"と"ai"と"ai"さらには"Ai"とか。さらに入力ミスで"A1"(数字の1)とか”Al”(小文字のエルL)。人だったら、どうにかなりますね。システムではちゃんと扱えるでしょうか?もっと高度なレベルでは"ネジ"と"螺子"と”スクリュー"とか。加えて、同じと認識して、一緒にしていいか問題もあります。ここら辺は自動化は困難です。間違えを認めるなら、ありですが、そのうち訳分からなくなる…。その他にも長くなるので省略しますがデータベース的な正規化もあります。

もっと大きなくくりでいくと、標準化をちゃんとやりましょう、ってことです。同じモノを人によって違う言い方してたら、データを統合して分析なんでまず無理です。ステーション1のことを、"ステーション番号1","Station1","St1","S1"ではなく、ステーションの項目(もしくは列)に数字で1と書いてある方がデータ活用的には望ましい。全員が同じ言葉を使う、データ活用の原則です。マスタを持つシステムであれば最初からちゃんとやりましょうね。

データドリブンなアプローチ、やっと本題。

ここまでは、デジタル技術を用いた自動化・効率化の側面が大きいです。ただ、DXの真骨頂はデジタル変革にありますね。とはいえ、今までの業務を変えたり、できなかったことを具現化するわけなので、どうすればいいか、悩みの種です。

その中で一つ答えとなりうるのが、データドリブンというアプローチです。データ駆動型アプローチともいわれます。どういうものか、一例を挙げてみます。フィルタのメンテンナンスで考えます。

まずはBM(En: Breakdown Maintenance)。故障保全とか事後保全とか言われます。壊れたら直しますね。フィルタなら詰まったら交換します。

そうならないようにTBM(En: Time Based Maintenance)が行われます。定期保全です。フィルタを3か月ごとに交換するといった感じで、メンテナンスの基本です。ところが、そのフィルタは中1か月使われていなかった場合過剰に交換していることになります。

そうだともったいないから出てくるものがCBM(En: Condition Based Maintenance)、状態保全です。フィルタだとフィルタ前後の差圧を見たり、一次圧(上流側圧力)を測定して、破過に近づくと交換という感じですね。
ここで、少しレベルが変わったのにお気づきでしょうか?「測定して判断」という概念が出てきました。これはデータドリブンの考え方ですね。まあ、このくらいなら昔から現場で行われてきているのでデータドリブンというのは止めときましょう。

先程の差圧とかの測定値をネットワーク経由でデータ収集・保存して、可視化できているとしましょう。データドリブンな感じが出てきますね。日常点検などで現場を回らなくてもデータが入手でき、並べて比較すればより危ないフィルタがすぐ分かります。
CBMも効率化の範疇ですが、例えば破過曲線と比較してどの程度詰まっているかを把握したり(あとどのくらいで交換しないといけないかが予測できる)、ここ数日で急に詰まってきたフィルタは早期交換が必要かもしれません。気温が25度を超えるような時期にフィルタの劣化速度が速い場合は冷却水に防腐剤の添加を行えば劣化が抑えられる、といったアクションも起こせます。その場で"値を見て基準を超えていれば交換"(普通のCBM)とはだいぶ変わりますね。ここに機械学習などの要素が入ってくるとPM(En: Predictive Maintenance)と呼ばれる予知保全が視野に入ってきます(前出の3つをPM En: Preventive Maintenance、予防保全ということがあります。略語が同じでややこしい…)。これは、「装置を止めないメンテナンス」(正確には意図しない時に故障で止めない)です。ここまでくると、だいぶ変わった感が出てきます。データで優先度や問題点・変化点を見つけて対処する、といった仕事の流れとなり、従来とは違う働き方、といえますね。
生産量の予定を見ながら、適切な時期(例えば週末など稼働率が低いタイミングで)にフィルタを先行交換する、みたいなことをしていくと、ホントに止まらないラインが出来上がっていくかもしれません。交換はラインに余裕があるとき、うまくいけばラインを止めずにできるので、交換作業にも余裕ができるはずです。交換作業のミスも減るかもです。

と、いうことで、データドリブンな現場を目指してみましょう。DXへの近道かと。